2017年1月30日、東京23区、三鷹市、武蔵野市地区では運賃が改定となりました。これは各テレビ局でも取り上げていたので、注目のニュースとなりました。
普段タクシーに乗らない方でも、”安くなるならちょっとした時に乗ってみたい”と思ったかもしれません。今回は、東京都のタクシー運賃の紹介と運賃引き下げの背景について取り上げます。
東京都のタクシー運賃をご紹介
東京ハイヤー・タクシー協会および東京都個人タクシー協同組合は1月27日、初乗り410円タクシーの記者発表会を実施しました。短縮運賃は、2017年1月30日より東京23区・武蔵野市・三鷹市で開始予定で、初乗り料金が現行の730円から410円と320円分の引き下げとなりました。
現在の運賃は下記の通りとなります。
■東京23区、武蔵野市、三鷹市
[普通車]
①距離制運賃
初乗運賃:1.052kmまで410円
加算運賃:以後237mごとに80円
②時間距離併用制運賃※1分30秒ごとに80円加算
■八王子市
[普通車]
①距離制運賃
初乗運賃:2.0kmまで730円
加算運賃:以後276mごとに90円
②時間距離併用制運賃※1分40秒ごとに90円加算
■八丈島、小笠原島
[小型]
①距離制運賃
初乗運賃:2000mまで660円
加算運賃:以後255mごとに80円
②時間距離併用制運賃※:1分35秒ごとに80円加算
※高速道路走行時以外で時速10km以下になると、時間を距離に換算する時間距離併用運賃が適用されます。
※高速料金は別途必要となります。
運賃改定の理由とは何か
一つは、人口構成の変化と少子高齢化である。社会問題でもある高齢者の増加により、移動に対する苦労が増えています。そういった点で、初乗り値下げは『ちょい乗り』需要を喚起できるのではないかというもの。病院から駅、買い物など気軽に頻繁に乗っていただき、昨今は若い方があまりタクシーに乗らないが、いち公共交通機関として、お子様のいらっしゃる家庭の足としても使っていただきたいという意図があります。
二つ目は、現代の日本でもっとも変化した訪日外国人の増加です。初乗りが2kmで730円というのは世界有数の長さで、高額な印象を与えていました。これを世界標準に近い価格までに引き下げる。410円は、ロンドン・ニューヨークに比べて十分安く感じていただける運賃だと考えました。また1月30日の午前0時以降に出庫するタクシー車両から、初乗り料金が変わるが、新しいステッカーには初乗りが410円だと訪日外国人にもアピールできるように『First』の文字を追記することを実施したそうです。
初乗りを410円した見通しとは?
この初乗りの運賃を引き下げは、短距離利用者からの運賃収入について一定の減収が見込まれることはすぐわかります。実はその代わりに中長距離利用者の運賃引き上げによってカバーして、全体として運賃収入が変わらないよう運賃を組み替えるという意図があるのです。今回の運賃組替えと併せて、短距離利用者に対する運転者の接客マナーなどのサービスを向上させて、タクシーが短距離でも利用しやすいものとして取り組むことを事業者に求めていくと言います。
また今後3年以内に運賃組替え後の状況について事後検証を行う予定とのことです。東京のタクシー運賃については、4月から7月にかけて、初乗り運賃の見直しを求める事業者からの申請がなされて、同省が審査を進めてきました。同省が実施した審査結果について、公共料金の変更手続きに必要な消費者庁との協議や内閣府の消費者委員会での審議等を経て、12月20日、物価問題に関する関係閣僚会議の了承を得たという経緯があります。
実際にタクシー運賃引き下げは利用者にとってどうなのか
現状、高額のタクシー・チケットは既に大半の企業で認められなくなっています。
それに加えて、労働者の実質賃金は5年連続のマイナスとなっており、更に増税の影響もあり個人の懐具合はますます厳しくなっています。そのため短距離を安く乗るという新しい需要を掘り起こさない限りは、タクシー業界が売上げを維持することは難しいのです。特に東京の場合、外国人観光客の増加で短距離移動需要が拡大しているという追い風もあります。
ここまで業界の足並みが揃ったのは東京という特殊事情に加えて、タクシー最大手の日本交通が積極的に値下げの環境作りを進めたことが大きく影響しています。「タクシー大改革」の一環となる初乗り運賃の改定です。ちょい乗りユーザーが増えて、2017年はタクシーが大きく変わった年と実感してもらえる年になるのか、今後の動向が気になるところです。