勤務先の給与の実情は、実際に支払いを受けてみないと分からないことがあります。
タクシードライバーの仕事の場合、もらった明細書を見て、初めて給与天引きの事実に気付くこともあるでしょう。
ここでは、タクシードライバーの給与に多く見られる、天引きの項目についてお伝えしていきます。
給与天引きにありがちな項目1事故に関する費用
タクシー会社の中には、万が一ドライバーが勤務中に事故を起こした場合、費用を給与天引きにするところもあります。
例えば、衝突事故を起こすと、車両の修理代金などが発生します。
乗客やタクシードライバーが怪我をした時には、治療費などが必要になってくるでしょう。このような費用は、通常はタクシー会社が契約している自動車保険でカバーされます。
ただ、契約の条件によっては保険金給付の対象外になるケースも出てきます。
また、ドライバーが仕事に復帰をするまで時間がかかる時には、休業補償などで新たに会社側に負担が発生する場合も。このような事情がある場合はもちろんですが、タクシー会社側に特に金銭的な損失がなくても、1種のペナルティの形でタクシードライバーに一定の金額を支払わせるケースも見られます。
労働基準法では、損害賠償金などを給与天引きすることは禁止されていますが、罰則金などの名目で多少の事故負担金が発生することはあり得ます。
事故のレベルや状況によっても扱いが変わることが多く、タクシー会社に就職や転職をする時には事故負担金の詳細について調べておいた方が良いでしょう。
給与天引きにありがちな項目2遠距離走行の場合の高速代金
乗客を遠隔地まで送るような時には、高速道路を使うケースも出てくるでしょう。このような場合に発生する往路の高速代は、乗客に料金として請求することが出来ます。
しかしながら、遠方からの帰路の高速代については給与天引きとなる可能性も少なくありません。
乗客がいない帰路の場合は、一般道で帰ることももちろん出来ますので、敢えて高速道路を使った場合は、高速代がタクシードライバーの自己負担になることがあります。
タクシードライバーの仕事は、営業区域が予め決まっています。
そのため、営業区域以外の場所で乗客を拾うことは、現実的に難しくなるでしょう。
自分の営業区域まで戻るまではいわば仕事が出来ない状態になるため、到着まで時間がかかり過ぎると、丸1日仕事が出来ないというケースもあるわけです。
こうなると、就業しているのにもかかわらず営業利益が落ちてしまうのが問題です。
こういった事情から、帰路も高速道路を使うタクシードライバーは少なくないのが現実です。
ただ、タクシー会社によっては、営業区域までの高速代を負担しています。
遠方からの帰路の高速代を誰が負担するかは、入社する時に確認しておきたい1つのポイントになるでしょう。
給与天引きにありがちな項目3カード払いの場合の手数料
タクシーを利用した乗客がクレジットカードでの支払いを選択した場合、一定の割合でカード会社に支払う手数料が発生します。
このようなカード手数料も、タクシードライバーの給与天引きになりがちな項目の1つです。
比較的大手のタクシー会社は、カード手数料についても事業者負担として取り扱っていることが少なくありません。
しかしながら、地域密着型の小規模なタクシー会社の場合は、カード手数料をドライバーからの給与天引きにしているケースもあります。
カード手数料が給与天引きされると、都市部などのクレジットカードの利用者が多い地域では、ドライバーの負担も大きくなるでしょう。
その都度手数料を負担する必要が出てくるため、現金払いの時に比べて取り分が少なくなります。
本来の取り分がカード手数料の分だけ減ってしまうことになりますので、クレジットカード払いの乗客を敬遠するドライバーも出てきます。
こういったカード手数料の給与天引きについては、余り公にしていないタクシー会社が多いため、実態が分かりにくいのが難点です。
入社する時に心配な時には、口コミ情報などを見てその会社のシステムを把握しておくと安心です。
給与天引きにありがちな項目4ガソリン代金やトラブルの費用
タクシーで走行中には、頻繁に給油をする必要があります。こういった給油の際のガソリン代金は、タクシー会社の負担となるのが一般的です。
しかしながら、給油に利用出来るガソリンスタンドが予め指定されている場合は、タクシードライバーがガソリン代金を負担する状況も現実的に出てきます。
例えば、給油が必要な時に指定のガソリンスタンドが見つからなければ、指定外のスタンドを利用して給油をしなければならなくなります。給与天引きになる可能性があるのが、このような時に発生するガソリン代金です。
遠距離走行の際には、最寄りのガソリンスタンドで、急きょ給油しなければならない状況も出てくるでしょう。
この手の状況を考慮して、一定の金額の範囲内であれば、指定外のスタンドで給油をしてもガソリン代金を事業者負担の扱いにするタクシー会社も見られます。
また、盗難等のトラブルに関しては、タクシー会社の方針で対応が分かれるところです。タクシードライバーに重大な過失があり、万が一乗客から損害賠償を請求された場合でも、その金額をそのまま給与天引きされることはありません。
ただ、事故の場合と同様に、何らかの形で負担金が発生する可能性はあります。
給与の内訳は入社前に確認をするのが、タクシードライバーに転職をする時の基本と言えるでしょう。