タクシードライバーは乗客の命を預かる仕事です。
ただ道を間違えずに運転ができればよいというわけではありません。
持病などで事故を起こすことがないように常に不眠や生活習慣病など健康面に留意し、乗客を安全に目的地まで運ぶ使命があります。
そこで、タクシードライバーの健康管理はとても重要な課題となります。
心臓疾患や糖尿病、肝硬変、精神病などがあると就業できないかもしれません
タクシードライバーになろうとしてタクシー会社に面接に行ったとき、担当者から必ず健康面のことについて聞かれます。そのときに、タクシー運転手になれない病気(心臓疾患や糖尿病、肝硬変、精神病など)を持っている場合は、不採用になることがあるでしょう。心臓疾患や糖尿病は、狭心症や低血糖により、就業中に突然意識を失うことがあります。また糖尿病と肝硬変は体力の低下が起こり、体調管理が難しく、健全な就業が困難になるかもしれません。さらにある種の精神病やアルコール依存症などでは錯乱状態になることも考えられます。このような健康面でのリスクを抱えていると、乗客を安全にタクシーに乗せて運ぶことは難しいと判断され、不採用になってしまうのです。
このような持病を持っている場合は、事前に医療機関にかかり、タクシードライバーとして就業できるかどうか、医師に相談してみましょう。治療によって改善される可能性がある、あるいは治療中で疾病が改善されつつあるのなら、その旨を記載した診断書を書いてもらうとよいです。そして面接時に診断書を提出するとともに、持病について面接担当者とよく話し合いをし、持病の改善や健康管理に努めていることを真摯に訴えましょう。
持病については採用担当者に正直に話し、健康管理への意欲を見せましょう
上記のような持病があるにもかかわらず、それを隠して採用試験を受け、面接に合格しても健康診断があるのです。早い場合はその日のうちに、あるいは数日内に健康診断を受けなければなりません。もしその健康診断の結果、数値に異常があれば、面接時の自己申告と違うことになり問題になります。採用が取り消しになるかもしれません。それほどタクシードライバーの健康管理は重要なわけです。不採用となった場合、他のタクシー会社の入社試験を受けても、他社でも働けない場合があるから注意する必要があります。
どのタクシー会社も同じように健康診断をしていますし、健康診断をする医療機関が違っても、検査結果に変わりはありません。タクシー会社によって、採用基準となる検査結果の数値に多少の誤差があっても、どのタクシー会社も同じような基準で健康診断の結果を判断します。1社で健康が原因で就業できない例があれば、他の会社でも就業できないと考えたほうがよいでしょう。ですから嘘をつかず、正直に持病について面接官に話しましょう。全く就業不可能な健康状態なのか、それとも、ある程度の努力をして健康診断の数値が改善されるのであれば就業できるのか、それが判断できれば、自分が今後どうするべきかも見えてきます。就業できるようになるまで健康状態を改善させる、あるいは今より悪化させないための努力をすれば就業できるなどということがわかれば、自分自身の安心にもつながります。
栄養、運動、休養に配慮し、適度な飲酒と禁煙が大切です
タクシー運転手になるために気をつけるべき生活習慣は、まず栄養バランスの取れた食事を3食きちんと食べること、適度な運動をすること、休養や睡眠を十分にとり、メンタル面に気をつけることです。心臓病や糖尿病、肝硬変などは食事や飲酒が原因になっていることが多いのです。塩分や脂肪が多すぎると肥満や高血圧になりやすく、動脈硬化を起こし、心臓病や糖尿病などの生活習慣病につながります。炭水化物や脂質、たんぱく質、ミネラルなどをバランスよく摂り、肥満や高血圧にならないよう気をつけましょう。また飲酒もカロリーが増える原因ですし、飲み過ぎるとアルコール性肝炎など肝臓疾患にかかりやすくなります。また二日酔いをするほど飲酒をする習慣があると、タクシードライバーになったとき、業務に支障が出ますから、適度な飲酒を守らなければなりません。
さらに禁煙することが大切です。タクシーを運転しながら喫煙をすることは不可能ですし、タバコの臭いのついた制服でタクシーを運転することは、サービス業としてのマナー違反になるともに、個人だけでなくタクシー会社全体の問題に発展します。また喫煙は肺の病気やがん、脳卒中、心臓病などの危険因子とされていますから、喫煙習慣のある人は、タクシードライバーを目指すのを機に禁煙するとよいでしょう。
タクシードライバーは常日頃から健康管理や生活習慣病予防が大切です
タクシードライバーになれたとしても、タクシー会社の場合は半年に1度、健康診断があります。一般の企業は健康診断が年に1回なので、タクシー会社はそれだけ健康を重視していることになります。年に2回健康診断があると、ちょっとした生活習慣の乱れが検査結果に影響することがあります。したがって、常に健康に気をつけて生活をすることが大切です。タクシードライバーはサービス業であり、いろいろな乗客を相手にすることから、ストレスが溜まりやすい職業です。普段の生活や休みの日などにストレスを発散するよう工夫しましょう。またタクシードライバーは常日頃から座ったままなので、腰痛を起こす人が多くなっています。空き時間にストレッチをする、入浴で腰をよく温めるなど、腰痛を改善することが大切です。また適度なウォーキングは腰痛予防や改善の効果があります。
常日頃から運動不足であったり、肥満があったりすると、タクシードライバーを続けられなくなる恐れもあります。自覚症状がある、健康診断の結果に異常があるなどの場合は、必ず医療機関を受診して治療に専念しましょう。自分の身だけでなく乗客の安全を守るために、健康面に十分配慮し、安全運転を続けていくことが大切です。