企業、組織の運営管理において代表的な形態と言えば、「トップダウン」と「ボトムアップ」。そんな二つの組織運営の方法論についてどちらを採用するべきかということになりますが、日本交通では、新しい形態としてコミュニティ経営を実行しています。会社にとって、働く人にとって、トップダウンやボトムアップにとらわれないコミュニティ経営とはどのようなものなのでしょうか。

トップダウンとは
社長や会長などの経営権を握る人間や、それらを含めた経営陣によって決められたことを従業員に命令し、上からそれに従わせるタイプの経営となります。日本の古くからある企業はほとんどがこの形で、組織と言えばこの形に馴染みがある人が多いのではないでしょうか。

トップダウンのメリット
トップダウンの大きなメリットの一つがスピードです。これは変化するビジネスの世界において変化に対応する上でも非常に重要なポイントです。余計な時間を使い、現場全体の意見をまとめていては、積もり積もって大きな時間のロスです。それが致命傷になってしまうことがないとは言い切れないでしょう。
また、トップダウン型の組織において重要なのが、経営陣と現場との信頼関係です。この信頼関係が築かれていれば、トップダウン型経営は組織の一体感を生み出します。
現場との信頼関係が十分に築かれていれば、場合によっては会社の方向性を急激に転換することも可能な経営方式と言えます。いつまでも古い考えや昔上手くいっていたことに固執するのは良い事ではありません。トップダウンでは経営陣の意思決定が現場へ、それがすぐに実行に移されます。これでスピード感のある経営が可能となります。

トップダウンのデメリット
トップダウンである以上は経営陣の指示通りに動く形になりますが、指示がない、もしくは遅ければ組織は止まってしまいます。また、社員に高い意識を持たせるための、組織全体を力強く引っ張っていく強力なリーダーが必要です。指示待ち体質を作り上げた中からリーダーを創り上げるのが難しい場合もあるので、組織が崩れないようにしなければなりません。そして、やはり現場での声が経営陣に届きにくくなるという点もデメリットとして挙げられます。それを防ぐには、経営陣と現場の密なコミュニケーションが必須です。

ボトムアップとは
ボトムアップは、経営陣というよりも現場です。現場のアイディアや意見を経営陣が吸い上げ、組織の運営を行います。

ボトムアップのメリット
現場の些細な変化を肌で感じることが出来ない経営者は、現場に大きな裁量権を持たせることによって、情報を知ることが出来ます。それがボトムアップの大きなメリットの一つです。
トップダウンは従業員からみれば、自分の考えが反映されずただ降りてくる指示を待ってそれに従うだけと感じるでしょう。これだとモチベーションを高く保つことは難しくなります。物質的な満足で満たそうとすると、給与などの待遇面で評価をすることになり、結果としてコストも高くなりがちです。
ボトムアップでは現場が大きな裁量を持つことになりますので、どうすればより良いものになるのか、より良い結果が生まれるかを現場が考えます。社員にとって結果に貢献できると分かりやすく、現場での仕事に対するモチベーションを維持しやすいと言えます。

ボトムアップのデメリット
現場を任せることが出来る人材がいない場合は、往々にして失敗します。また、現場からの情報量が多くなるほど会社の意思決定は遅くなります。組織の方向性や統一感もバラバラになる可能性があります。

日本交通のコミュニティ経営とは
トップダウン、ボトムアップの話をしてきましたが、日本交通のように、どちらでもない革新的な経営をとっていることろもあります。日本交通ではFacebookを通じて意見交換や意思決定がなされていきます。トップが意思決定を行う事もありますが、現場がからのボトムによる意思決定も多く存在します。情報の回転スピードの速さもあります。Facebook上では常に情報が上がり、トップもボトムも関係なくコメントを挟んでいきます。このようなことから、トップダウンなのかボトムアップなのかは関係なく、情報を素早く回転させることにより、全員のコミュニティで意思を決めている、と言う形に見えます。現代はFacebookなどのツールがあるため、全員参加のコミュニティ経営も有効な手段になるのかもしれませんね。

   Send article as PDF